賃貸の火災保険の「告知義務」と「通知義務」とは?

賃貸の火災保険の契約者には「告知義務」「通知義務」という2つの義務があります。
具体的にどんなものなのか、義務違反があるとどんなことが起きるのか知っておきましょう。

火災保険契約における「告知義務」と「通知義務」とは

火災保険は言うまでもなく、保険会社と加入者との契約によって成り立っています。
この保険契約の内容を定めたものが「保険約款」です。保険約款には、その保険の対象や、保険金を支払う場合の条件などについて細かく定めており、告知・通知義務についてもこの約款に記載されています。

まず告知とは、保険契約時に加入者が保険会社に対して、契約対象となる建物の「所在地」「専有面積」「構造」「用途」や「加入者の個人情報」などを伝えることを言います。
保険会社はこの情報に基づいて保険引受の可否を判断しますので、加入者は必ず事実に基づいて正確に告知しなければならないという義務を負っています。

次に通知とは、保険契約期間中、保険会社が定めた「通知事項」に変更が生じた場合に、その旨を保険会社に伝える義務のことを言います。
つまり、告知と通知は保険加入者の義務であり、両者の違いは保険加入時か契約期間中かということになります。

告知・通知はいつまでにすればいいの?

告知は保険の申込時に行ないます。通常、保険の申込書(またはWebの申込みフォーム等)に必要事項を記入するようになっていますので、
事実を正確に記入すれば告知義務をはたしたことになります。通知については、契約期間中、通知事項に変更が生じた時点で「遅滞なく」通知する義務があります。

告知義務違反、通知義務違反となる事例

告知義務違反とは、告知事項について、故意または重大な過失によって事実を告げなかった場合、または、故意または重大な過失により、事実とは違う内容を告知した場合のことを言います。例えば本当は店舗なのに住宅として申込みをした。本当は自分が住んでいないのに自分が住んでいるものとして申し込みをしたなどです。

一方、通知義務とは契約期間中の義務ですから、通知内容に変更が生じたにもかかわらず通知をしなかった場合、または事実と異なる通知をした場合、通知義務違反となる可能性があります。
いずれの場合も、重大な違反があった場合には、保険金の支払いができなくなったり、保険契約そのものが解除されたりすることもありますので十分注意しましょう。

まとめ

  1. 保険契約者は、保険会社に事実を正確に伝える「告知義務」「通知義務」を負っている
  2. 通知事項に変更が生じた場合には「遅滞なく」保険会社に通知しなければならない
  3. 告知義務、通知義務に違反した場合、契約を解除されることがあり、解除前に生じた損害の補償を受けられないこともある。